かつて1960年代の池田内閣の「国民所得倍増計画」では、租税負担率を国民所得の20%以下に抑えることを盛り込んでいるそうだ。これが今でも厳守されているとは驚天動地の驚きといっていいのではないか。そのほか、日本国民が政府や公務員を信用していないことが、日本では増税に対する国民の抵抗が強いことに関連しているという。そのことが結局社会保障の後退、国債残高の高騰、日本社会の荒廃につながってきているのではないか。このための対策として彼らが提唱しているのは、これまでの日本の福祉は、いわば余裕のある人が税金を出し、それを困っている人に与えるという構図であって、それでは現在のように中流階級が減少していく中で、なぜ我々が金を出さないとダメなのかという議論になり、国民の間に分断が起こっている。
そのために、いわば誰もが負担し、だれもが受益を受ける、具体的には例えば、スウェーデンのように誰もが同じ割合で所得税を負担し、また低所得者以外でも受益に当たって所得の多寡で区別しないという構図を選択すべきだという。それによって納税意欲を高め、いわばより高福祉高負担社会の構築を目指すべきだという。私もその方向に原則的には賛成である。今の政府は、戦略を明らかにせず、幼保無料化でそういう考え方を一部取り入れているが、たぶん全体としては絶対にその方向に行こうとはしないと思う。日本の将来像をもっと議論すべきであると思う。