先日、9月26日上記の研究会に参加を求められ、当日、次のような話をしました。
まず、日本のここ30年の経済不調は、基本はリチャード・クーさんの言うバランスシート不況と企業が国内への投資より、他国特に発展途上国への投資を選択することによる、国内での資金循環の流れの停滞にあること。その上に日本では80年代半ばからこれまで30年休みなく行革が続けられてきたため、民間による資金循環の停滞にとって代わるべき政府支出による資金循環策が抑制されてきたこと。とりわけ、政府支出の6割を占める地方政府支出の抑制が、資金潤沢な東京以外のすべての地域で深刻な地方経済の沈潜化を招いており、私はこれを「行革・バランスシート不況」といっていること。
また、そのため、関西レベルでこれから考えるべき基盤整備としては、クラウドの立ち上げとエネルギー自給度の向上のための、自然エネルギーの開発促進を公共事業として取り組むこと。さらに資金循環の促進策として、仮想通貨あるいは地域通貨として、「カンサイ」を共同で立ち上げること。1カンサイ=10円とし、地方税の一部あるいは補助金等政府支出の一部は「カンサイ」を使用することにより、決済通貨としての役割を持たせることなどを提案した。
さらに、特に経済の著しい減退の続く兵庫については、県庁あるいは県内市町職員の異常な減少を踏まえ、今後の地域経営の人材養成と地域経営策の展開のため、県が主導して県職員、市町職員、研究者等のネットワーク形成の場を早急に作ることなども提案した。
日経新聞社コメンテーター上杉氏の話を聞きました。フェイスブックのリブラについてです。その趣旨は、今や単なる投機対象になってしまっている仮想通貨に対して、決済通貨足り得るものとしてリブラを考えているとのこと。そのため、ブロックチェーン分散台帳技術を核として、ドル、ユーロ、ポンド、円、人民元など主要通貨に連動させた価格操作やスイスにリブラ協会を置いて管理を図るなどとしている。これに対して主要国の当局は、懸念すべき課題として、①バックアップ体制、②マネーロンダリング、③利子の概念がないため金融政策が不能となること、④国債等への影響、⑤通貨発行益の喪失、⑥通貨主権に対する脅威等をあげて反発している。これを受けて当初参加を表明していた企業が相次いで離脱しているとのこと。一方この動きに刺激されて、中銀デジタル通貨として、デジタル人民元や、eクローナの動きがあるようだ。いよいよ決済通貨としてのデジタル通貨が現れそうな気配があるのは大変面白い。