私が考える地域活性化度=(各種地域活動主体・資源の数×活動の量×活動の質)の総和
エリア経営の目的は、エリアの活力の維持・向上を図る地域活性化にあるとも言えます。上式で各種活動主体とは、中央・地方政府、定住人口(数、年齢構成、職業別など)、交流人口、企業、団体、NPOなど各種社会的活動主体、趣味のグループなどのことです。活動の種類とは、生活、仕事、趣味、その他社会的活動、地域活動、移動などを含みます。各種資源とは、自然、各地の産物、インフラ、人的ネットワークなどとします。ただし、これらはなかなか定量化のためのデータも不足しているため、上式はとりあえず概念的に考えるときの道具として活用できるものです。
例えば、少子高齢化の中で定住人口は減っていきますが、その際にエリアの活力を維持・向上させるには、いきなり交流人口を増やすということではなく、今定住している人の活動の種類や量を増やすことをまず考えるべきです。それとともに交流人口の増加のための対策もたてる。それが定住人口の活動を増やすかもしれないし、場合によっては減らすことになるかもしれません。最近京都に行く日本人観光客が減ってきたといわれるのもそういうことの結果かもしれません。
問題の捉え方が少し違うかもしれませんが、田中修「日本人と資本主義の精神」では、「労働力が減少していく中で日本経済・社会の活力を取り戻すためには、日本人一人ひとりの人間力の向上が必要」と述べています。
また、宇沢弘文「社会的共通資本」では、「たとえ私有ないし私的管理が認められているような希少資源から構成されていたとしても、社会全体にとって共通の財産として、社会的な基準にしたがって管理・運営される」ものとして、「自然環境、社会的インフラ、制度資本の3つの大きな範疇にわけて考えることができる」自然や、インフラ、教育、医療などは資本主義の一般原理とは異なる取り扱いが必要だと述べているように思います。
さらに、原丈人「公益資本主義」では、企業の行動についていわゆる株主資本主義の考え方ではなく、すべてのステークホルダーに配慮した公益型の資本主義を根差す必要性を論じており、また、そのように企業に対する働き方をしようとしたり、政府に対して例えば四半期ごとの決算の馬鹿さ加減を説いたりしています。