東洋経済オンラインに小西美術工藝社社長のデービツド・アトキンソンさんの「日本の消費税の議論はなぜ『こんなに的外れ』かー消費増税の前に最低賃金5%アップ』せよ」が載っていました。
要は、日本の生産性はイギリスのそれと大きく違わない。しかし、日本の最低賃金はイギリスの7割しかない。この20年間先進国の企業は給料を約80%引き上げてきて、経済は非常に順調。一方、日本は9%引き下げてきた。その日本がいまだにデフレから抜け出せていない。消費税議論は、「給料が増税分以上あがるなら賛成、上がらないなら反対」ということのようだ。
小西美術工藝社の給料はどうですかと聞いてみたい気もするが、それはさておき、企業が内部留保をため込むのは決して間違った判断ではない。しかし、それが全体に及ぶなら経済全体はマイナスの影響を受けるのは、合成の誤謬の典型的なモデルだろうと思う。内部留保が増加するということは、収益が続いているということの現れでもあり、その間、競争力は維持されていると考えられ、その範囲で雇用者報酬をあげても競争力に影響は及ばないとも考えられる。雇用者報酬が上がればそれだけ消費も進み、GDPも上がる。仮に、現在の企業の内部留保430兆円余りの半分が、雇用者報酬に回って入れば、日本のGDPは600兆円どころかすでに700兆円を目指しているかもしれないという幻想も抱かせる。

例えば、企業の収益の半分を雇用者報酬に回す企業には、法人税を減ずるとか、逆にそれ以下の企業には税率を上げるとか、合成の誤謬に陥らない施策を進めることは政府の義務だと思う。