ここでは、森川正之さん(現経済産業研究所長)の「サービス産業と政策の百年:概観」から三次産業についての要約をまとめたい。
①産業の概観
・サービス産業は第二次世界大戦以前から産業構造全体に占めるシェアはかなり大きく、時代とともにその重要性を高めてきている。ただし戦時経済体制の下で極端に重工業に偏った強制的資源配分が行われ、サービス産業への資源配分が政策的に抑圧されるという約十年間の不連続な時期を挟んでいる。
・1970年以降90年ごろまでは。製造業のGDPシェアがピークアウトし、サービス産業のシェア拡大が加速した。
・90年代以降は、「情報サービス業に代表される他企業に中間投入される事業サービスの成長」、「個人向けサービスの中では医療・健康や社会保障関連のサービス業種の成長が顕著になる反面、高齢化・人口減少や経済全体の低成長の下で、飲食店、旅館、ゴルフ場などいくつかのサービス産業は頭打ちとなり又は減少に転ずるなど、サービス業種間の新陳代謝も進んだ。」
②サービス産業政策の動向
・戦時統制経済に入る前の時期に、零細小売商の組織化・共同化、商工中金による低利融資
・第二次大戦後は商業・サービス業は振興型の産業政策の蚊帳の外
・70年前後に情報サービス業がようやく振興型の産業政策の射程に
・理美容師、保育士、獣医師、公認会計士などの職業資格制度はサービスの質を担保し、消費者・ユーザーを保護することが政策目的
・71年の「70年代ビジョン」で提唱された産業構造の知識集約化でようやく「サービス経済化への対応」
・73年からサービス統計の整備充実が図られてきた。また、プログラムの開発・普及、ソフトウェア技術者の育成
・82年から研究開発として第五世代コンピュータ開発プロジェクト
・80年代半ば以降から規制改革
・88年に産業支援サービス業の地方分散・集積を目指した頭脳立地法