このエリア経済経営研究会では、対象を国と都道府県と市町村としています。広域の課題が多い中でなぜそれを取り扱わないかというと、端的に言って、広域には唯一の責任主体が無いかあやふやであるからということです。市町村の在り方に関して、市町村優先主義と市町村平等主義という二つの考え方があるといわれています。まず、市町村平等主義というのは、人口380万人の横浜市も人口300人の村も基本的には同じ仕事をすることが要請されています。当然小さな自治体では単独でできないことが多々出てきます。そのために共同で取り組む仕掛けが用意されています。日本では一部事務組合とか広域連合、大きな自治体への事務委託などいくつかの方策が用意されています。同じ平等主義をとるドイツやフランスにも同様の共同方策があります。その費用はだれがどういう形で負担するかというと、ドイツや日本は構成団体が負担金を出すということになっています。フランスは負担金もありますが中には、その事業のために構成団体の住民がその事業のための特別の税金を支払って賄うというものもあります。
一方、市町村優先主義をとるアメリカでは、住民は小さな自治体で少しの仕事をするか、大きな自治体としてより多くの仕事をするかを選択することができます。当然小さな自治体を選択したところでは、その他必要な仕事はどうするかというと、学校区とか公園区とかなんたら区というものをこしらえて、その事業に必要な資金は、関係住民の税金という形で徴収することになります。こういう区が全米で1万ほどあるようです。
エリア全体の経営を考えるとき、その事業がうまくいくかどうか責任をとるものが必要です。いくつかの団体が構成メンバーとなる場合には、その責任体制がどうしてもあいまいになりがちです。関西広域連合などでは、事業ごとに責任主体を決めてやっています。これも一つの回答かもしれませんが、その反面その事業は構成団体それぞれの持つ質・量には到底及ばないのが実状です。構成団体それぞれの規模に匹敵したり、それを凌駕するような事業は事実上困難です。
エリア経営の様々な課題の中には、こうした共同での責任体制の構築についてももちろんご提案をお待ちします。